09.木材用塗料の種類
9-4.不飽和ポリエステル樹脂塗料
美しくぴかぴかと光り輝き、鏡のような歪みのない映像を映しだしてくれる塗装の仕上げには、不飽和ポリエステル塗料が使われていることが多い。この不飽和ポリエステル塗料は、一般的に「ポリ」と言われることが多く、品位のある高級仕上げとして親しまれています。
この塗料の乾燥機構は、ラッカー、ウレタンと異なり、化学的なラジカル重合によって硬化し、常温ではほとんど揮発する物質がなく、塗装時そのままの状態で塗膜を形成する為、数100μの厚塗りが可能です。
塗装時には、ポリエステル樹脂にスチレンモノマーを加えた物に硬化剤である有機過酸化物、それに促進剤であるナフテン酸コバルトをそれぞれ加え、硬化させます。
【ポリエステル塗料の空気の遮断方法】
ポリエステル塗料は、硬化させるときに空気から塗膜自体を遮断する必要があります。
その遮断方法に大きくは2種類あり、遮断方法の違いで塗料自体も2つのタイプが存在します。
塗料タイプ | 遮断方法 | 特徴 |
---|---|---|
ワックス | パラフィンワックスを塗膜表面に析出させ、空気から遮断する。 | 正常にワックスを表面に浮かせるためには温度管理、風の管理が必要。 又、温度によってワックスの選定も必要。 |
ノンワックス | 塗料中にアリル基を配合し、その成分が空気と反応し皮膜を作ることで遮断している。 | ワックスタイプに比較して管理は簡単だが塗料単価は高い。 |
【塗料の用途と特徴】
◆用途
中塗りから上塗りに使用される。
その肉持ちを利用し、主には中塗りに利用される場合が多いが、ポリエステル塗料をバフ磨きをする事で艶を出し、上塗りとする例もある。(ピアノ塗装)
◆長所
①肉持ちがよく、一度に数100μの厚塗りが可能。
②光沢性、透明性、深み感がある。
③硬い塗膜
④経時後の塗膜ヤセが少ない。
⑤化学的に優れた塗膜が形成され、耐薬品性に強い。
◆短所
①塗装時、可使時間が短く(20分程度)扱いにくい。
②木材中のヤニ成分で、硬化不良を発生する。
③塗装時にピンホール、タレ、ユズ肌等を起こしやすい。
④未乾燥時の研磨粉による発火に注意しなければならない。